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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)1528号 判決 1967年12月06日

原告

H・T

右訴訟代理人

石田享

宇津泰親

被告

坪井工業株式会社

右代表者

坪井定

右訴訟代理人

入沢武右門

桑本繁

堀越靖司

主文

一、被告は原告に対し三四八万円およびこれに対する昭和四一年二月二九日から完済に至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを二分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

四、この判決は原告勝訴の部分に限り仮りに執行することができる。

事実

第一  当事者の求める裁判

原告「被告は原告に対し五八六万七五二〇円およびこれに対する昭和四一年二月二九日から完済に至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決および仮執行の宣言

被告「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決

第二  請求原因

一、(事故の発生)

原告は、昭和三九年一〇月一〇日午前零時一五分頃、東京都北多摩郡清瀬町松山一丁目一三番地先志木街道を歩行中、訴外池田進(以下池田という。)運転のマイクロバス神二す〇三九七号(以下本件自動車という。)に激突され、因つて骨盤骨折、外陰部損傷、失血性ショック、骨盤内臓器損傷等の重傷を負つた。

二、(被告の責任)

被告は本件自動車を所有して自己のために運行の用に供していたので自賠法三条によつて後記損害を賠償する責任がある。

三、(損害)

(一)  原告の失つた得べかりし利益

原告は昭和一八年一〇月二五日生まれの当時二〇才余の女子であり、訴外ニチバン株式会社東京工場に勤務し、事故以前の一か年間平均で月手取額一万七九二二円の収入があつた。原告は事故前極めて健康であり、将来に亘つて同会社に勤務する積りであつたから、本件事故に遇わなければ引き続き同会社に勤務し、少なくとも前記平均月収を下らない収入を得ていたであろう。ところで厚生省発表の第一〇回生命表によれば二〇才の女子の平均余命が五二・二五年であることから考えても、原告は爾後四〇年間は同会社において稼動しえたと推認される。そこで右平均月収額を基礎にして年五分の割合による中間利息を一括式ホフマン式計算法により控除して事故時における一時払額を計算すると二八六万七五二〇円となり、右金額が同人の失つた得べかりし利益の一時払額である。

(二)  慰藉料

原告は本件事故のため瀕死の重傷を負い、佐々病院に受傷時から同年一〇月二四日までの二週間入院して輸血および各種の手術加療を受けようやく一命をとりとめ、更に東京医科歯科大学病院に同日から同年一二月一九日まで入院して再手術加療を受け、退院後も月二回程度の通院加療を受けたが全治不能であつて、現在後遺症として排尿障害、性交不能、分娩不能があるほか、左足のむくみなど身体全体が痛み、あるいは時折頭部に痛みを感じ、更には軽い作業を一、二時間しただけでも異常な疲労感、頭痛があり、安静を最上とする状態を余儀なくされている。もしも本件事故に遇わなければ、他の若い女性と同様に、やがて普通に結婚して幸福な家庭生活を営むことができたはずであるが、一片の過失もないのに一瞬のうちに瀕死の重傷を受けたのみならず通常に働くことも結婚することもあきらめざるを得なくなつた。子供の頃父と死別し、不自由な身体の母の慈愛で育てられた原告が味わつた苦痛は母きんの悲しみともまじり合い死にも優る苦痛である。

原告の蒙つた以上のような肉体的精神的苦痛を慰藉する金額としては三〇〇万円が相当である。

四、(結論)

よつて原告は被告に対し、逸失利益の損害金二八六万七五二〇円と慰藉料金三〇〇万円の合計五八六万七五二〇円およびこれに対する本訴状送達の翌日である昭和四一年二月二九日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

第二  請求原因に対する被告の答弁

一、請求原因第一項の事実中、原告の蒙つた傷害の程度は争い、その余は認める。

二、同第二項の本件自動車が被告の所有であることは認める。

三、同第三項は争う。

第三  被告の抗弁

一、被告は事故時の一、二年前から本件自動車を訴外生方久松(以下生方という。)に賃貸した。生方は被告の下請負人であり、昭和三九年五月から八月頃までは本件自動車を下請工事のために使用していたが、同八月頃右自動車の後輪スプリングが折れたので、以後同人はこれを工事には使用せず、修理のため埼玉県北足立郡新座町の工場現場事務所に保管し、わずかに他のマイクロバスのエンジンをかけるために使用していたにすぎなかつた。池田は、生方に人夫として雇われていたものであるが、自動車の運転免許を有せず、運転を命じられたこともなかつた。同人は同年一〇月六日都合により退職していたが、その後である事故当日前記事務所内に厳重に保管されていたエンジンキーを盗み出して本件自動車を運転して本件事故を惹起させたのであつて、被告は当時本件自動車の運行および運行利益を喪失しており、従つて運行供用者たる地位を失つていたものである。

二、自賠責保険金の受領および弁済の抗弁

原告は昭和四〇年五月二五日、同月二九日の二回に亘り訴外東京海上火災保険株式会社から自賠責保険金四九万円を受領した。

生方は、被告のために原告に対し昭和三九年一〇月一〇日から一四日までに一〇万四〇三〇円、同月一五日から二一日までに六万一〇〇〇〇円、同月二二日から二四日までに一万三四〇〇円の合計一七万八四三〇円を支払つた。

三、過失相殺の主張

仮りに被告に責任があつたとしても、池田は現場事務所に厳重に保管されていたエンジンキーを盗み出したものであるし、また当時本件自動車は故障中だつたのであるから、本件自動車を運転する者があることを予想し、これを防止することは通常人には期待しないところであり、被告には全く過失はないところ、原告には右側を歩行すべきであるのに道路左側を歩行していて本件事故に遇つたという重大な過失があり損害額の算定にあたつては右の過失は十分に斟酌されるべきである。

第四  被告の抗弁に対する原告の認否

一、抗弁第一項について 賃貸の事実は否認し、その余の事実は知らない。仮りにその主張のような事実があつても、運行使用者たる地位を失うものではない。

二、同第二項について 保険金の受領は認めるがその余の事実は否認する。

三、同第三項について 過失相殺の主張は否認する。

第五  証拠<略>

理由

一(事故の発生)

請求原因第一項の事実は傷害の点を除き当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、原告は本件事故によつて骨盤骨折、外陰部損傷、失血性ショック、骨盤内臓器損傷の重傷を負つた事実が認められる。

二(被告の責任)

被告が本件自動車を所有していたことは当事者間に争いがない。そこで被告主張の抗弁について判断する。

<証拠>によれば被告と生方、池田との関係、本件自動車の使用状況、事故当日の状況は次のとおりであつたことが認められ、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。

(一)  被告と生方、池田との関係

被告は、訴外オリエンタル工業株式会社から、埼玉県北足立郡新座町水資源公団調整水槽一号から五号までの工事を請負い、昭和三九年四月から九月一ぱいまで同工事にたずさわつたが、その際土工関係については更に生方に請け負わせていた。生方は常時一五、六名の人夫をかかえていて一〇年位前から被告の下請けをしており、同人の仕事の半分以上は被告の下請けであつたが、同工事の際にも同人は池田他約三〇名の人夫を同工事に使用していた。同工事現場には事務所と宿舎とがあり、本件事故当時は同工事はすでに完成していたが、生方は訴外狭山建設から下請けした田無の西友ストアーの工事のため右宿舎を従前どおり人夫宿泊用に利用していた。池田は同年一〇月五日帰郷するとのことで生方のところを退職したが、当時はまだ帰郷せずにそのまま右宿舎に残留していた。

(二)  本件自動車の利用状況

本件自動車は、前記工事の半年ばかり前に被告が生方に人夫運搬のために賃貸し、賃料相当分だけ被告が生方に支払うべき請負金額が安くされいてた。生方は本件自動車を被告の工事を請け負つた時にのみ使用し、他からの請負工事にこれを使用することはなかつた。ガソリン代、修理費は被告が負担していた。前記水槽工事のなされていた当時現場には被告の被用者である訴外鈴木正幸が技術主任として赴き、本件自動車の運行に関しいろいろ注意を払つていた。当時同車はスプリング故障のため人夫運搬にはすでに使用されなくなつていたが、なお現場事務所前の定位置に保管され、他の車のエンジン始動のために時々使用されていた。

(三)  事故当日の状況

当夜池田は前記事務所前に置いてあつた本件自動車を発見し、ラジオでも聞こうと乗車したところたまたま同車にエンジンキーがついたままになつていたため、運転免許を持つていないにもかかわらず清瀬町内を一周してみようと考え同車を運転して本件事故を惹起させてしまつた。

被告と生方との間には右認定のような密接な関係があり、本件自動車の利用状況にしても、結局被告からの請負工事のためにのみ使用され、同車のガソリン代、修理費はすべて被告が負担し、同車の運行も、被告の従業員である現場主任が管理していたのであつて、右貸借によつて被告の運行支配および運行利益が失われたとはいえない。なるほど池田は事故当日の数日前に生方の被用者たる地位を失い、被告と生方との請負契約も解約され、また池田の当夜の運転自体は何ら生方や被告の業務の執行と関係のないものであつたが、前記認定の諸事実から考えると、池田がこの宿舎に残留していた間は被告と池田との間の従前の関係は全く断ち切られたものとはいえず、そのような立場にある者が、清瀬町内の一周という限られた目的のため一時無断借用し、その後返還する予定でなした本件自動車の無断乗出行為によつては、本件自動車に対する前記の被告の運行支配は喪失されたと見ることはできない。従つて、被告の抗弁は理由なく、被告は後記損害を賠償する責任がある。

三(損 害)

<証拠>によれば次の事実が認められる。原告は事故当時あと五日で満二一才となる健康な女子で訴外ニチバン株式会社東京工場に勤務し、事故前の一二か月分の月収(手取額)と年二回支給される賞与とを合算すると一か月間の平均手取額は一万七〇〇〇円程度であり、なお結婚適令の満二三才に達する頃までは前記会社に勤務してゆく予定であつた。しかるに本件事故による傷害のため、原告は佐々病院に二週間入院し、その間輸血および各種の手術を受けてようやく一命をとりとめ、更に東京医科歯科大学病院に転院して再手術を受け、昭和三九年一二月一九日同病院を退院したが、退院後も月二回程度同病院に通院して治療を受けた。はじめのうちは自宅でほとんど寝たきりの生活を送り、事故後一年位後から掃き掃除の手伝い位はすることができるようになり以前から足の不自由な母訴外比留間きんの手助けも多少は可能となつた。しかし本件事故によつて受けた傷害のためなお腰部に疼痛をおぼえ冷やさないように真綿の布団をあてて晒を巻いているがそれでも痛みの激しいこと、右足のつけ根と腰部の怪我の跡は冷えると痛み、頭も一週間に一度位ボーとし、小用が近くて三時間位しかもたない状態で、到底会社勤務に堪えず、右会社を退職するに至つた。もつとも原告は欧文および邦文タイプの技能があり、受傷後は生活のてだてとして自宅に邦文タイプライターを購入もしているので、原告の回復工合から考えると今後そのタイプの能力を生かしていくらかの収入を得られるものと考えられる。なお、厚生省発表の第一〇回生命表上満二〇才の女子の平均余命が五二年余であることは当裁判所に顕著であるが、原告も本件事故に遇わなければ同程度生存しえたであろうと推測される。

1  原告の失つた得べかりし利益

原告が前会社で得ていた月額一万七〇〇〇円を基礎にして満二三才に達するまでの二年間右会社で得たであろう合計額を年五分の割合による中間利息をホフマン式計算法(一括式)により控除して受傷時の現価を求めると三七万円(一万円未満切り捨て)となる。

2  労働能力の減退による損害

原告は満二三才後も前記会社に勤務しえた筈であることを前提として原告の逸失利益を請求しているが、前認定のとおり原告自身満二三才に達する頃には結婚のため右会社を退職するつもりでいたことが認められるので、それ以降の分については原告の主張をそのまま採用することはできない。しかし、原告の訴旨は、傷害により労働能力が減退したことによる損害を主張するにあり、ただその損害を評価算定する一つの方法として会社勤務の継続を仮定して逸失利益を主張する方途に出たに過ぎぬと見るべきであるから、右のように会社勤務の継続を前提とする原告主張が肯認しえぬとしても、労働能力減退による損害主張の訴旨まで否定されるわけではなく、他の損害算定方法を検討して見る必要がある(この場合、右の損害主張の訴旨が主要事実であるから、これを算定するのに他の方法を採つたとしても弁論主義違反の問題はない)。

案ずるに、結婚して主婦生活に入つた女性は、他に勤先を持つ場合、家庭内で手内職に従事する場合などもあるが、通常は家事労働にのみ従事することとなるのであり、家事労働は、女中・家政婦等によつて遂行される場合と異なり、主婦の場合には対価を生じない。すなわち主婦の家事労働には、本来、他から収益を獲得するという意味での稼動性がない。そこで「主婦の家事労働の対価に相当する分は夫の収入の一部を占めるものであるから、主婦の労働力を夫の収益力以外に独自の財産的価値として対外的に主張することはできない」との見解もある。しかし、主婦の家事労働による支出の節約という消極的利益が一見夫の収入のみによる家計の維持という外観を呈するのであつて、かかる意味においては主婦の労働力の経済的価値を疑うことはできない。

ただそれを金銭的に評価する場合の相当額は、これを一律に論じることを得ない。けだし、主婦の家事に従事する在り方は、夫の職業ないし財産あるいは家族の数に強く影響されるものであるのみならず、本人の健康や能力にも左右されるところが大きい。終日、炊事や掃除や洗濯や育児に追いまくられているのと、かかる肉体的労働を女中などに任せつつその監督等家政の管理を主とするのとでは、労働の質も違うのである。問題の女性が既に実際に結婚生活に入つている場合には、従つて、その家庭の個別的事情に応じ、家事労働の具体的な量と質とに即してその経済的価値を測定する外はない。

然しながら、本件のようにその女性がまだ現実に結婚生活に入つていない場合には、右とは事情を異にする。その労働能力の喪失・減退を財産的損害として評価するに当り、二三才の退職予定時以降は家庭の主婦となつていたであろうとの推測の下に立つてこれを行うというに過ぎぬのであるから、問題はむしは抽象的な家事労働に象徴されるその者の具体的な労働能力、内に注がれずして外に施されたならなにがしかの収入を生むであろうところの潜在的な稼動能力なのである。もとより、かかる場合、潜在的稼動能力として評価されるところを以てそのまま労働能力算定の基礎となしえないのは、主婦として家事労働に従事するとの推測の下に立つ以上、当然のことであるが、他方、甲も乙も一律に見て家事労働の対価相当額を算定するのは、個々人の精神的肉体的能力の差が主婦としての家事労働の質や量を左右する可能性を無視することに帰し、却つて事の真を失うと考えられるのであつて、結局、未婚の女性の労働能力の喪失・減退につき、将来主婦たるべき期間の損害を算定する場合には、その稼動能力を重要な因子として考慮に入れれば足りるのである。そして、例えば未就学の幼女などのように将来の稼動能力測定につき何らの手掛りもない場合には、統計による平均値の利用も考えられないではないが、就職の経験ある場合には、その就職時の収入を以て稼動能力を見積るのが当然である。

本件原告は本件受傷による後遺症のために外に出て一定の職に就くということは不可能となつたと認められるが、前記のようにタイプによつて一定の収入を得ることができ、家庭においても母を助けて家事労働の手助け程度はなしうるのであるから原告の労働能力喪失の度合は三分の二位と見るのを相当とするところ、この労働能力自体の評価につき斟酌さるべき原告の稼動能力は、同女が前記会社に在職していた時に得ていた月収を基準にして算定すべきこと前記のとおりであるから、前認定の当時の月収一万七〇〇〇円を稼動能力と見て、これを斟酌しつつ、退職後における原告の労働能力減退による損害額を勘案すると、月額一万二〇〇〇円と見るのが妥当である。そして満二〇才の女子の平均余命が五二年余であること前認定のとおりであるから、原告は少なくとも六〇才に達する頃までは労働可能と認められる。そこで、右金額を基準にして満二三才から六〇才までの三七年間の合計額を年五分の割合による中間利息をホフマン式計算法(一括式)により控除して受傷時の現価を求めると一八〇万円(一万円未満切り捨て)となる。

従つて右1、2の合計二一七万円が原告の蒙つた財産的損害となる。

3  慰藉料

原告は前記認定のとおり本件事故により九死に一生を得たが今なお後遺症に悩んでおり、<証拠>によれば、本件事故による骨盤骨折、外陰部損傷、骨盤内臓器損傷のため、将来の性生活、分娩に支障をきたす可能性を有しており、原告自身結婚できるかどうかについて著しい不安を抱いていることが認められる。以上のような原告の蒙つた多大の肉体的、精神的苦痛に対する慰藉料としては一八〇万円が相当である。

四(自賠責保険金の受領および弁済の抗弁)

原告が訴外東京海上火災保険株式会社から自賠責保険金四九万円を受領したことは当事者間に争いがなく、右金額分だけ原告の請求は差し引かれるべきことになる。

<証拠>によれば、生方から原告に対し若干の金員が支払われたことが認められるが、右金員は原告の治療費として支払われたことが認められるので本訴請求に対する弁済の抗弁は理由がない。

五(過失相殺)

<証拠>によれば、原告は道路の左側を通行中、背後から本件自動車に衝突されたことが認められるが、他方右証拠によれば、池田は事故直前まで約四時間ばかりかかつて清酒を小さい徳利で一五本位、ビールを普通のびんで五本位飲み、本件自動車を運転した当時ほとんど前後不覚といつてもよい状態であつたことが認められる。

本件事故地点の道路(志木街道)に歩車道の区別がないことは弁論の全趣旨により明らかであるから、原告が左側を歩行していたのは道路交通法規に照らせば正しくなかつたといわなければならない。しかし、加害者池田の無免許の飲酒運転という重大な過失と比較した場合、単なる左側歩行という程度の過失をとらえていわゆる過失相殺の対象とするのは相当でないと考えられる。よつてその余の判断に及ぶまでもなく、過失相殺の主張は失当といわねばならない。

六(結論)

よつて原告の請求は第三項の合計額三九七万円から第四項の四九万円を控除した三四八万円およびこれに対する訴状送達の日の翌日であること記録上明らかな昭和四一年二月二九日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める程度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八九条、第九二条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条を、各適用して、主文のとおり判決する。(倉田卓次 浅田潤一 原田和徳)

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